最近、3歳になった娘の「なんで?」が止まりません。
朝起きて窓の外を見るなり、
「パパ、空はなんで青いの?」
朝食を食べながら、
「なんでご飯を食べるの?」
散歩に出かければ、
「鳥さんはなんで飛べるの?」
気が付けば、一日中質問攻めです。
仕事で疲れて帰ってきた日には、
「また始まった……」
と思ってしまうこともあります。
正直、答えられない質問もたくさんあります。
「なんでだろうね」
と曖昧に返してしまうことも少なくありません。
でも、ある日ふと思いました。
娘は毎日、世界に感動しているのだと。
私たち大人が見慣れてしまった景色も、娘にとっては新しい発見の連続です。
空も。
風も。
虫も。
車も。
すべてが不思議で、知りたいことばかり。
だから「なんで?」が生まれる。
その姿を見ているうちに、私はある疑問を抱くようになりました。
いつから私は、「なんで?」を口にしなくなったのだろう。
学ぶことは教わることではない
子どもの頃の私は、何でも知りたがる子どもでした。
図鑑を眺めたり。
虫を追いかけたり。
テレビで知らない言葉が出てくれば親に聞いたり。
けれど大人になるにつれて、「知らないことを知りたい」という気持ちは少しずつ薄れていった気がします。
仕事を覚える。
家事をこなす。
生活を回す。
毎日を生きるだけで精一杯になる。
すると、いつしか「学ぶこと」は学校や資格のためにするものになっていました。
そんなとき、ふと「学」という漢字の成り立ちが気になりました。
調べてみると、昔の「學」という字には、屋根の下で子どもたちが教えを受ける様子が表されていると言われています。
なるほど。
確かに学ぶとは、教わることなのかもしれません。
でも私は思うのです。
本当の学びは、そのもっと前から始まっているのではないかと。
学びの始まりは「なんで?」
誰かに教えてもらう前。
本を開く前。
学校へ行く前。
そのずっと前にあるもの。
それが、
「なんで?」
という問いです。
空はなぜ青いのか。
なぜ雨が降るのか。
なぜ人は笑うのか。
その疑問があるから、人は調べます。
調べるから知識になります。
知識が増えるから世界が広がります。
もし最初の「なんで?」がなければ、学びは始まりません。
考えてみれば、人類の歴史も同じです。
なぜ星は動くのか。
なぜ病気になるのか。
なぜ物は落ちるのか。
そんな疑問が科学を生み、技術を発展させてきました。
世界を変えてきたのは、いつだって一人の「なんで?」だったのです。
大人になると失うもの
子どもは何度でも聞きます。
「なんで?」
答えても、
「なんで?」
さらに、
「なんで?」
終わりが見えません。
でも、それが学びの力です。
知らないことを恥ずかしいと思わない。
分からないことをそのままにしない。
知りたいから聞く。
ただそれだけです。
一方で大人はどうでしょう。
知らないことを聞くのが恥ずかしい。
失敗するのが怖い。
今さら始めても遅いと思ってしまう。
だから新しいことへの挑戦をためらいます。
けれど、娘の姿を見ていると気付かされます。
学ぶことに年齢なんて関係ない。
必要なのは才能でも頭の良さでもない。
たった一つの好奇心なのだと。
私自身も学び続けている
私は理学療法士として働いています。
学校を卒業したときは、ようやく勉強が終わったと思っていました。
しかし現実は違いました。
新しい研究。
新しい治療法。
患者さん一人ひとり異なる悩み。
学び続けなければ良い支援はできません。
最近では英語の勉強もしています。
最初は聞き取れない言葉ばかりでした。
何度聞いても分からない。
覚えても忘れる。
それでも少しずつ意味が分かるようになってくると、不思議と面白くなってきます。
コーヒーの焙煎も同じです。
温度によって味が変わる。
豆によって香りが変わる。
失敗もたくさんあります。
でも、「なんでこうなったんだろう?」と考えるから次につながります。
振り返れば、私が続けてこられたことにはすべて共通点がありました。
それは、「なんで?」を持ち続けていたことです。
学びは人生を豊かにする
学ぶことは、資格を取ることだけではありません。
知識を増やすことだけでもありません。
学びとは、世界を見る解像度を上げることです。
今まで気付かなかった景色が見えるようになる。
人の気持ちが少し理解できるようになる。
昨日の自分より少しだけ成長できる。
それだけで人生は少し豊かになります。
娘が毎日見せてくれる「なんで?」は、そんな当たり前のことを思い出させてくれます。
「なんで?」を忘れない
子どもは「なんで?」から学びます。
そして大人も、本当は同じなのだと思います。
もし最近、新しいことを始める勇気が出ないなら。
もし毎日が同じことの繰り返しに感じるなら。
ほんの少しだけ立ち止まってみてください。
空を見上げて。
本を開いて。
誰かの話を聞いて。
そして自分に問いかけてみてください。
「なんでだろう?」
その小さな疑問が、あなたを新しい世界へ連れて行ってくれるかもしれません。
学びとは、学校を卒業したら終わるものではありません。
人生が続く限り続いていく旅です。
そして、その旅の始まりはいつだって同じです。
子どもが無邪気に口にする、あの一言。
「なんで?」

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