こんばんは。「翡翠の隠れ家」を運営するたーです。
今回はコーヒーにハマっていった原点について書こうと思います。
ブラックコーヒーに憧れた高校時代

高校生の頃、私はブラックコーヒーを飲む大人に憧れていた。落ち着いた雰囲気でコーヒーを飲む姿は、まさに“大人の余裕”を感じさせるものだった。そんな姿に惹かれ、私もコーヒーを飲んでみようと思ったのが、すべての始まりだった。
とはいえ、当時の私がいきなりドリップコーヒーを淹れられるはずもなく、最初に手を出したのはコンビニで売っている缶コーヒーだった。ブラックの缶コーヒーを購入し、友人の前で「うん、うん」と分かったような顔をしながら飲んでみたものの、内心では「苦くて飲めたもんじゃない」と思っていた。今思い返すと恥ずかしい話だが、大人ぶりたい一心でその苦さに耐えながら飲み続けていた。
コーヒー専門店との出会い

そんなある日、近所にコーヒー豆の専門店があると聞いた。店の名前は「ドゥ・ムートン」。興味を持った私は、さっそく訪れてみることにした。
店の前にはシンプルながらも趣のある看板が掲げられ、店内に足を踏み入れると、芳ばしいコーヒーの香りが広がっていた。棚には種類豊富なコーヒー豆がずらりと並び、缶コーヒーやインスタントコーヒーしか知らなかった私にとって、この光景はまさに新世界だった。
店主は落ち着いた雰囲気の人で、私がコーヒーに興味を持っていることを伝えると、丁寧にいろいろと教えてくれた。
「ドリップコーヒーなら、道具を揃えればすぐに美味しいコーヒーが淹れられるよ」
そう言われ、私はすぐにでも試してみたくなった。
「ドゥ・ムートン」は当時、カフェではなくコーヒー豆の販売専門店だった(と記憶している)。せっかくなので店主におすすめの豆を聞くと、勧められたのはグアテマラ産のコーヒー豆だった。店主にその場で豆を挽いてもらい、私は意気揚々と帰宅した。
初めてのハンドドリップ体験
まずは道具を揃えるためにホームセンターへ向かい、ドリップコーヒーのセットを購入。ペーパーフィルター、ドリッパー、サーバー、そしてポットを手に入れ、いよいよ自宅で初めてのハンドドリップに挑戦することとなった。
お湯を沸かし、ペーパーフィルターに挽きたてのコーヒー粉をセット。そして、おそるおそるお湯を注ぐと、ふわっと膨らむコーヒー粉。その瞬間に広がる香りに、私は驚きとワクワクを感じた。そして、慎重に抽出し、カップに注ぐ。
緊張しながらひと口。
「なんだこれ!?うんまっ!!」
思わず声が出た。
今まで飲んでいた缶コーヒーとはまったく違う飲み物だった。苦みが少なく、驚くほど香り高い。ほんのりとした甘ささえ感じる。「これが本当のコーヒーなのか」と、心の底から感動した。
コーヒーの魅力にハマる
それ以来、私は缶コーヒーではなく、コーヒー豆を購入するようになった。店主と話をしながら、さまざまな豆を試し、自分好みの味を探すのが楽しくなっていった。コーヒーはただの飲み物ではなく、その日の気分や体調、淹れ方によって表情を変える奥深いものだと知った。
こうして私は、単に「ブラックコーヒーを飲むのがカッコイイ」と思ったことから始まり、いつの間にかコーヒーそのものに魅了されていた。そして今、私はコーヒーを販売する側になろうとしている。
もしあのとき「ドゥ・ムートン」を訪れていなければ、私は今でも缶コーヒーを飲みながら苦い顔をしていたかもしれない。高校時代の憧れと、小さな興味が、今の「翡翠の隠れ家」につながっている。
あの日感じた感動を、今度は私が誰かに届けたい——
そんな想いで、今日も心を込めてコーヒーを焙煎している。
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