サンプル豆3種を焙煎して分かったこと|翡翠の隠れ家 焙煎日記

コーヒー豆焙煎

サンプル豆3種を焙煎して分かったこと

ハンドピッキングからカップまで|翡翠の隠れ家 焙煎日記

「同じコーヒー豆なのに、ここまで違うのか。」

今回サンプルとして届いた豆たちは、ハンドピッキングから焙煎、テイスティングまでを通して、改めてコーヒーの奥深さを教えてくれました。 この記事では、実際に手に取り、選別し、焙煎して飲んでみたからこそ分かったことを、記録として残しておきます。


今回届いたサンプル豆

今回チェックしたのは以下の3種類です。

  • エチオピア(200g)
  • タイ・ドサケット/ケニアスタイル・ウォッシュ(200g)
  • インドネシア・クリンチマウンテン(5kg)

産地も精製方法も違う豆たち。 まずは、生豆の状態から見ていきます。


ハンドピッキングで分かる、生豆の本当の姿

エチオピア|小粒で繊細、香りで語る豆

エチオピアの豆は、全体的に小粒。 虫喰いはほとんど見当たりませんでしたが、規格外の形をした豆や、やや発酵が進んだ豆が混ざっています。

決して均一ではありませんが、不思議と雑な印象はありません。 「この豆は、味より先に香りで勝負してくるな」 そんな予感を抱かせる、生豆でした。


タイ・ドサケット(ケニアスタイル・ウォッシュ)|完成度の高さが指先に伝わる

この豆は、ハンドピッキングを始めた瞬間に違いが分かりました。

丸みのある形、しっかりとした厚み、 指でつまむと分かる“ブリッ”とした質感。 密度の高さが、はっきりと伝わってきます。

器形豆や発酵豆、蒸し豆はほとんどなく、 生豆の段階ですでにスパイシーな香りがほのかに漂っています。

正直、「これは焙煎前から出来上がっている豆だな」と感じました。


インドネシア・クリンチマウンテン|もっとも手がかかった豆

今回、もっとも時間と体力を使ったのが、 インドネシア・クリンチマウンテンです。

虫喰い豆、欠け豆、奇形豆、サイズの小さい未成熟豆が多く混在。 試しに250gをハンドピッキングしたところ、最終的に残ったのは210g。 約16%が欠点豆という結果でした。

正直、5kgという量を頼んだことを少し後悔するレベルです。 それでも、「ここまで選別したら、どんな味になるのか」 そんな好奇心が、この豆を最後まで向き合わせてくれました。


焙煎して、カップで答え合わせ

タイ・ドサケット|スパイスが際立つ、ブレンドの切り札

焙煎後も、スパイシーな印象ははっきり残りました。

キレのあるスパイス感。 それでいて後味は驚くほどクリーン。 単体でも楽しめますが、 ブレンドに少量加えることで全体を引き締めるアクセントになりそうです。


エチオピア|「コーヒーを好きになる理由」が詰まった一杯

エチオピアは、苦みがほとんどなく、 華やかな香りとなめらかな舌触りが印象的でした。

始祖のコーヒーと呼ばれる理由も納得です。 この一杯を飲むと、 最初にコーヒーを口にした人が、この飲み物を世界に広めた理由が、自然と腑に落ちます。


インドネシア・クリンチマウンテン|一口で表情が変わる、奥行きのある味

スモーキーな香りの中に、ほのかな苦みとスパイス感。 さらに、飲み終わりにかけて、やや酸味も顔を出します。

一口の中で印象が次々と変わる、情報量の多いカップ。 生豆の見た目だけでは決して判断できない、 インドネシアらしい奥行きを感じました。


それぞれ違うから、コーヒーは面白い

完璧に整った豆もあれば、 正直、手を焼かせてくる豆もあります。

でも、焙煎してカップに落としてみると、 どの豆にも、ちゃんと意味のある「おいしさ」があります。

コーヒーは、畑からカップまで、 人が関わり続けて初めて完成する飲み物。

「翡翠の隠れ家」として、 どの豆を、どんな形で届けるのか。 その答えを探す時間そのものが、 コーヒー屋としての楽しさなのかもしれません。

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